瀬戸内海スナメリフェスティバル2024を行ないました
こんにちは。ボランティアスタッフのKYOKOです。
10月14日(月・祝)に、岡山県瀬戸内市の牛窓で、瀬戸内海にくらす小さなイルカ「スナメリ」の生態や行動についての講演や展示、ワークショップ、観察会など盛りだくさんのプログラムを、牛窓のスナメリを見守る会と共催で行ないました。参加者は、65名。大人から親子での参加まで、各地からご参加いただきました。また、地元の邑久高校の生徒さんたちやカゼヲヨム会のボランティア協力もあり賑わいを見せました。
朝、本土からフェリーに乗船し、牛窓の離島「前島」にあるカリヨンハウスへ。
フェリーの船体には、スナメリが描かれていました!



講演 『スナメリとつなぐ瀬戸内海の未来』
まず、福山大学生命工学部海洋生物科学科講師の山本知里さんに、イルカ・クジラの違いや種類など、生態について分かりやすくお話していただきました。また、大学で研究されているイルカの行動学や認知科学について、映像で水族館での実験などを見せていただきました。また、現在は、福山~尾山周辺にて、スナメリの生息域調査を継続して行っているそうです。場所によって違いがあるのかも気になるところで、今後の調査の動きがますます気になります。
次に、牛窓のスナメリを見守る会代表の小野塚昌博さんに、お話いただきました。牛窓のスナメリの継続的な観察をされていて、これまで発見されたポイントの分布や写真などを見せていただきました。スナメリは、沿岸の水深の浅い海に暮らすため、海のそばで暮らす人たちにとってなじみ深い生き物であったこともあり、各地で「ナメソ」や「デゴンドウ」など様々な呼び名で呼ばれているそうです。
参加者の方からは、
・専門家の方々にお話を聞けて、とても分かりやすく、瀬戸内海のスナメリについていろいろ知れてよかった。
・スナメリが瀬戸内海の食物連鎖の頂点と考えられるため、スナメリの個体数が瀬戸内海の多様性の指標になるとわかった。瀬戸内海を見直すきっかけとなった。
などという感想がありました。
おふたりとも、瀬戸内海の素晴らしい自然とスナメリたちのことをもっと多くの人に知ってほしい、好きになってほしいと語っていたのが印象的です。今回、その魅力に気付くことができた私たち。不思議なこともまだまだあって、これからも見守っていきたいのはもちろんのこと、この海を大切にするために何かできることはないかと考えるきっかけともなりました。



講演会の後は、昼食をはさんで、フリータイム。ワークショップ・ポスター展示・物販を行ないました。
ワークショップでは・・・
<シーグラス陶芸>(提供:寒風陶芸会館)
牛窓の海岸に落ちていたシーグラスを釉薬のように使ってアップサイクル(再生利用)し、備前焼のルーツとなる「須恵器」を体験。粘土で、スナメリなど自分の好きなものを、みなさん熱心に形作っていました!その周りに、きれいなシーグラスを色を選んで並び入れていました!
<スナメリとカマイルカのペーパークラフト>(提供:ICERC Japan)
2種類のイルカを、カラダの形から特徴や生活を学びながら、貼り合わせたり、描いたりして作っていました。作り始めると夢中になって沈黙が続くこともあれば、参加者同士、「こんな体のつくりになっているんだね」「意外とむずかしいね」と話しながら進める場面もありました。大人だけでなく、お子さんの参加も多かったです。




ポスター展示では・・・
- 大阪ECO動物海洋専門学校 『播磨灘北部海域におけるスナメリ調査』
- 邑久高校 『デジタル版SDGsカードゲームの開発』
- 京都大学 東南アジア地域研究研究所 『受動的音響観測による瀬戸内海西部のスナメリ来遊調査』
- 近畿大学 『伊勢湾に生息するスナメリの子供と並泳する個体の交代』
- 千葉県立博物館 『千葉県周辺のスナメリ』
- 三重大学 鯨類研究センター 『伊勢湾のスナメリ保全に向けたモニタリング体制の構築』
- その他、カゼヲヨムの会、環境省、きしわだ自然友の会、瀬戸内オリーブ基金にもご協力いただきました。
スナメリに関する情報や、環境問題を改善する取り組みなどが紹介されていました。日本各地での観察や研究から、スナメリの暮らしや行動などを知ることができ、うれしかったです。参加者の方も順にじっくりと見られていました。
印象的だったのは、地元の邑久高校の生徒さんたちです。高校で『デジタル版SDGsカードゲームの開発』をされていて、私も参加させてもらいました。ゲーム感覚で、様々なSDGsに関わる内容についてそれぞれがアイデアを出し、それを一緒にゲームに参加している人たちでつながっていけるような工夫があり、高校生でそうした意識をもちゲーム開発をしていることに感心しました!


物販では・・・
アイサーチジャパンのオリジナルグッズに加えて、スナメリのキーホルダーやしおり、グラスやマグカップなど、様々なスナメリグッズが集まっていました!スナメリグッズはあまり見かけることが少ないので、うれしかったです。
(出品協力:おやこKujira、Kinkadesign、すなめみ、瀬戸内オリーブ基金、whale artistあらたひとむ)


スナメリ観察会では・・・
スナメリについて様々に学んでから、いよいよフェリーで出港し、スナメリたちが暮らしている海へ。
スナメリは背びれが低いことが特徴なため、少しでも波があると、なかなか見つけにくいですが、みなさん目を凝らして探しました。スナメリを見つけることはできませんでしたが、心地よい気候の中で、潮風を感じながら海上を進み、海や島などの景色もきれいで、 スナメリたちがここで暮らしているんだと肌で感じることができました。
参加者の方からは、
・海と触れ合える贅沢な時間でした。
・スナメリを見ることはできませんでしたが、スナメリの生態系やよく観察できた場所がわかりよかったです。
などの感想がありました。



私は普段は関東で活動していますが、今回初めて関西のスタッフの皆さんとご一緒させていただきました。
スナメリについて、講演やポスター展示などでたくさん知ることができ、スナメリを身近に感じることができました。また、スナメリネットワークを通じて瀬戸内海のスナメリを見守っていこうと地域で取り組んでいることやつながりがすてきだと思いました。ワークショップや物販なども楽しめて、様々な工夫いっぱいの贅沢な企画でした。
このスナメリフェスティバルにご参加くださった皆さん、ご協力いただいた全ての方に感謝いたします。これからもスナメリたちを一緒に見守っていきましょう!