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イルカのアイコン [イルクジニュース]イルカに化学物質が蓄積!?


このニュース記事をご存知ですか?

「イルカに化学物質が蓄積、プラスチック添加剤」(ナショナルジオグラフィック)

英語が読めず元の論文をたどることのできない私は、

記事を読んでいくつかの疑問が残ったままでした。

「尿から検出されているだけで体内に残っていると言えるの?」

「プラスチックが原因みたいに見えるけど、ほんと?」

 

海洋プラスチックに敏感になっている昨今。

イルカ・クジラたちがさらされている問題に多くの人が関心を抱き、改善しようという流れとは別に、

過度に反応したり、むやみに騒ぎ立てたりするのは、間違った方向に進んでしまう恐れがあると思います。

こういうときこそ、”Research”=「正しく知る」ことを大切にしていきましょう。

 

実は、鯨類の化学物質の影響について、2016年夏号のFLIPPERで取り上げ、

生物を介した環境汚染の分析を行なっている愛媛大学 沿岸環境科学研究センターの国末達也先生にインタビューしています。

そこで、思い切って、この疑問を国末先生に訪ねてみました。

そもそも「フタル酸エステル」とは

「フタル酸エステル」はプラスチック添加剤として使用されていますが、元の論文で尿から検出された主なフタル酸エステルは化粧品などの日用品、そして除草剤などの農薬にも入っていると書かれています。

フタル酸エステルはよく下水処理場から検出されるため、体内に残りにくい物質ではありますが、魚などの水生生物から検出されることもあります。

 

「尿から検出されているだけで体内に残っていると言えるの?」

「曝露」と「蓄積」は違う 

「曝露」の表現ですが、正確に言うと「さらされる」が正しいため「曝露(取込)」もしくは「さらされている」とした方がいいかもしれません。

「曝露」とは(体に入ってきている → さらされている)こと、

「蓄積」とは体内(臓器・組織)に残っていることを指します。

尿から検出されているということは「曝露」はしていると言えます。

 

「プラスチックが原因みたいに見えるけど、ほんと?」

イルカの体内に入った経緯はわからない

これらの化学物質がどのような経緯でイルカの体内に入ったのかはわかりませんが、いろいろな可能性が考えられます。

もしかしたら、化学物質が蓄積した魚を食べたからかもしれません。

水を通して曝露したのかもしれませんし、直接プラスチックを誤嚥したからかもしれません。

(魚が曝露した経緯はプラスチックを食べたからかもしれませんが、それも経緯はわかりません)

 

★ 疑問点スッキリ解決!

→ 体内に入った経路はわからない(プラスチックだけが原因とは限らない。そうかもしれないし、そうでないかもしれない)

→ 化学物質にさらされていることは確か。

 

 

国末先生、わかりやすい解説をどうもありがとうございました!

 

人間生活から出された生き物にとっていらないものが不自然に海にあり、

そこに暮らす生き物が脅威にさらされていることは紛れもない事実。

それがなぜなのかはわかりませんが、そうならないためにできることはあるはずです。

(記事にもそう書いてありますね)

 

All as One ~みんな1つにつながっている~

だからこそ、日々の生活で少しでも意識して、地球に生き物にやさしくありたい。

そんな風に思います。

 

(記事の元となった論文は コチラ です)

 

 

―――

鯨類の化学物質の影響については、

2016年冬号のFLIPPER

特集「イルカ・クジラを取り巻く海の環境問題~海岸に漂着したイルカ・クジラからわかること~」(7~14ページ)の後半に記載してあります。

“FLIPPER 2016 wintter” ダウンロード(PDF) はこちら

こちらも合わせてぜひご覧ください。


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